月経(生理)にまつわるトラブル
月経(生理)にまつわるトラブルは様々です。
月経困難症とは、月経期間中に月経に伴って起こる病的症状を言います。
月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)とは、月経前3〜10日の間で続く精神的あるいは
身体的症状で、月経発来とともに減退もしくは消失するものを言います。
症状は、イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、
落ち着かない、憂うつの順に多いとされています。
月経前不快気分障害(PMDD:premenstrual dyspholic disorder)は、精神症状が主体で
強いものをいい、PMSの最重症型に位置付けられています。
月経困難症とは?
月経困難症とは、月経期間中に月経に伴って起こる病的症状を言います。
下腹痛、腰痛、腹部膨満感、嘔気、頭痛、疲労・脱力感、食欲不振、イライラ、下痢及び憂うつの順に多く見られます。
月経困難症の原因
ホルモン分泌に異常をきたす機能性月経困難症と、他の疾患による器質性月経困難症に分類されます。
機能性月経困難症
初経後2〜3年より始まることが多いものです。
月経の初日や2日目頃の出血が多い時に症状が強く、痛みの性質は痙攣性、周期性であり、
原因は子宮の発育不全に伴う子宮頸管狭小や、痛みを起こす物質であるプロスタグランジン過剰による子宮の過剰収縮と言われています。
また黄体ホルモンや卵胞ホルモンなどの女性ホルモンの分泌異常をきたすことが原因となりえます。
器質性月経困難症
子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの疾患に伴うものを言います。
症状は月経前4〜5日から月経後まで続く持続性の鈍痛が多いです。
器質性月経困難症は20代から発症することもあり、近年ではこれら疾患にかかる方が増えてきています。
月経困難症の治療
非ステロイド抗炎症薬(鎮痛剤)が有効です。また、低用量ピルも有効と言われています。
他の疾患が原因である器質性月経困難症の場合には、原則その原因疾患の治療を
行いますが、機能性月経困難症と同じく鎮痛剤や低用量ピルを使用することもあります。
鎮痛剤の内服
痛みの原因となるプロスタグランジンの合成を阻害する非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs:アスピリン、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェンなど)の内服を行います。同時に低用量ピルを使用することで症状を緩和します。
漢方
漢方はゆっくりと体質を正して様々な症状を和らげます。
患者様の状態や体質などに応じて当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などを処方します。
ピル(LEP:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)
低用量ピルを内服することで女性ホルモンの分泌異常の改善を行います。
内服中は一時的に排卵を抑えることで、月経量の減少や月経期間の短縮が起こり、結果的に症状の緩和に繋がります。
高い避妊効果も得られます。
月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)
月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)とは、月経前3〜10日の黄体期の間に続く精神的
あるいは身体的症状で、月経発来とともに減退もしくは消失するものを言います。
症状は、イライラ、のぼせ、下腹部膨満感、下腹痛、腰痛、頭重感、怒りっぽくなる、頭痛、乳房痛、
落ち着かない、憂うつの順に多いとされています。
月経前不快気分障害(PMDD:premenstrual dyspholic disorder)は、精神症状が主体で
強いものをいい、PMSの最重症型に位置付けられています。
原因
PMSの原因は、現在のところ不明です。
排卵を抑制することで症状が軽快することから性ステロイドホルモン(特にプロゲステロン)が関与していると考えられています。
治療
治療の基本は、カウンセリングと生活指導、薬物療法やホルモン療法などです。
患者様一人ひとりに合わせて治療法を決定します。
ホルモン療法
身体症状が強いPMSに対しては低用量ピルや超低用量ピルの使用を行います。
薬物療法
辛い症状への対症療法をします。漢方薬や抗不安薬、抗うつ薬、向精神薬、SSRls(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、
睡眠導入剤(スピロノラクトン)、スルピリド、NSAIDs、トリプタン系薬剤(片頭痛治療薬)、胃腸薬などを使います。
その他
適度な有酸素運動による生活習慣改善や食事療法、認知行動療法、カウンセリング、サプリメントによるハーブ療法、
ビタミンB6などのビタミン療法などがあります。